鉄道隊長の鉄道日誌
 
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キハ75の運転台を見る

鉄道徹底研究、運転台シリーズ第1弾ということで、JR東海のキハ75-302を見ていくことにしよう。
まずはメインとなる運転台について、各種機器に番号を振って解説をしていく。括弧内の名称は現場における名称が中心になっている。


①ブレーキ設定器(ブレーキハンドル)
列車にブレーキをかけるための装置で、車でいえばブレーキペダルに相当する。電気指令式で、運転・B1~B8・非常の段階が設定されている。
右へ回すとブレーキがだんだん強くなり、左へ回すとだんだん弱くなる。走行中は運転位置にする。
②マスコンハンドル(ノッチ)
列車の加速を制御する装置で、車でいえばアクセルペダルに相当する。5段階で加速制御をおこなうことができる。気動車の場合は、エンジンへの燃料制御と変速・直結の切り替えが指令される。キハ75は自動制御により変直切替が行われるので、変直切替ハンドルは設けられていない。
③逆転機(レバーサ)
前・中・後の段階があり、それぞれ前進・中立・後退を意味する。前進側に倒せば車両は前進し、後退側に倒せば後退する。中立位置でマスコンを引くと、空ぶかしができる。
④マスコンキー挿入口
マスコンキーを挿入し、時計回りに回すとブレーキハンドルが動くようになる。マスコンキーが無いと、列車を動かすことはできない。
⑤速度計
運転士にとって重要な機器の一つ。文字通り速度を指し示すもので、160㎞/hまで対応。車両によっては120㎞/対応品や、デジタル表示のもの、液晶画面に、後述する空気圧系などと共にまとめて表示するものなどがある。ちなみに、キハ75の最高速度は120㎞/hで、これまでの気動車とは違って、電車並みの高加減速を誇る。
⑥空気圧系(BC圧・元タメ圧系)
運転士にとって最も重要な機器。速度計も重要なのだが、運転士の試験項目に「速度感測」があるほど、運転士も体感で速度がわかる。それもかなり正確に。
空気圧は体感では知りようがないので、計器に頼らざるを得ない。実際、空気圧系だけある電車もあるほど重要なのだ。
黒い針はブレーキシリンダにかかっている空気圧を、赤い針は元空気ダメ内の圧力を表示している。赤い針が速度計に示された赤いラインより低い値を示すと、コンプレッサーが自動的に動き出し、赤いラインの一番高い圧力になるまで空気を供給し続ける。動かなければ故障を疑うしかなく、運転も続けられなくなる。
⑦懐中時計置き
運転士の七つ道具の一つである、懐中時計(鉄道時計、SEIKO社製)を置くところ。点呼のたびに確認をするほど、定時運行には欠かせない必需品である。場所的に、とても見やすい。
⑧EBリセットスイッチ
EB装置(緊急列車停止装置)の確認ブザーを消すためのボタン。
1分以上運転士が何かしらの機器を操作しないと、ブザーが鳴る仕組みで、5秒以内にこのボタンを押すか、マスコン・ブレーキ・警笛などの機器を扱うなどすると消えるが、確認に失敗すると非常制動がかかり、停車するまでブレーキを緩められない。
デッドマン装置と共に、例外を除いてすべての車両への設置が義務付けられている装置だが、JRにおいてはEB装置の採用がほとんどである。
⑨ATS確認ボタン
ATS(自動列車停止装置)の確認ボタン。前方に停止信号があるとき、その信号と連動した地上子(ATSの地上装置)を通過すると、ベルトチャイムが鳴り、5秒以内にB1以上にブレーキを入れてからこのボタンを押すとベルが解除される。確認に失敗すると非常制動が(以下略)。
⑩緊急ボタン
TE装置(緊急列車防護装置)を起動させるボタンで、後述する防護無線の発報・信号炎管の点火・機関停止(電車の場合は主回路遮断とパンタグラフ降下)・非常制動・60秒間の汽笛吹鳴などといった、列車防護操作がまとめて自動的に行われる優れもの。
実際のところ、重大事故があまりなく、防護無線を発報するだけのケースが多いためか、このスイッチが使われる機会は意外と少ないらしい。
⑪列車無線
列車指令や列車同士、乗務員同士でやりとりをするための無線。これはデジタル列車無線と呼ばれるタイプのもので、JR東日本やJR東海などで使われている。
⑫車内放送用マイク
車掌スイッチのわきに置いてあることが多いが、気動車では半室運転台であることがよくあり、なおかつワンマン運転に対応させる意味合いも含め、運転台側に設置する車両が時々ある。読んで字のごとく、車内放送をするときに使われている。
⑬防護無線
これを発報すると、半径1㎞以内の全ての列車に信号が送られ、これを受信した列車の運転士は直ちに停車させるが、常用最大ブレーキで止めてもいいらしい。全く関係が無い、隣接する路線の列車を止めるケースもよくあるため、結果的には列車指令からの指示を仰ぐことになる。
⑭ATS-PT表示灯
中京圏で使用が開始された新型のATS、ATS-PTの表示灯。JR東日本の首都圏の路線で標準的に使われている、ATS-Pをさらに進化させた、ATCに近い究極のATS(?)である。東海道線を走ることもあるので設置されたらしい。表示灯の内容は左から、P電源・パターン接近・ブレーキ動作・ブレーキ解放・ATS-P・故障である。通常はP電源とATS-Pが点灯する
⑮スタフ立て
運転士の七つ道具の一つ、運転時刻表(通称:仕業表・スタフ)を立てるスタンド。会社や路線によっては、時刻表タイプや仕業表タイプなどと異なるため、スタンドの形や設置個所が変わったりする。運転時刻は秒単位で指定されている。
⑯各種スイッチ
機関始動・機関停止・前灯減光などの各種スイッチがそろっており、必要に応じて操作する。
⑱(1個目)戸閉表示灯
ドアが閉まると点灯する。どこか1か所でも開いていると点灯しない。



続いては、車掌スイッチについて。助士席側はカバーがかかっていることが多いので、わかりやすい運転士席側のものを使用した。

⑱(2個目)運転状況記録装置の記録端末
近年、100㎞/h以上で走行する車両に設置が義務付けられた装置で、ここにCFカードか何かの記録媒体を差し込んで記録するらしい。
⑲連絡ブザー
電車・気動車の必須装置。モールス信号みたいに単音と長音の組み合わせで合図をやり取りする。
⑳車掌引きスイッチ
スイッチを引くと回路が切断され、非常制動がかかる。触車(車両に人や物が触れている状態のこと)などの非常事態の時に、列車を止める必要があるときに使う傾向にある。強引な方法だと・・・停止位置超過しそうなときにタイミングを見計らって引いて、定位置に止めてしまう方法とか・・・実際やっちゃいけないんだけど。
㉑閉扉スイッチ
読んで字のごとく、ドアを閉めるための押しボタン。乗降終了のタイミングを見計らって押さないと、戸挟みとかを起こすので注意。
㉒ブザー押しボタン
連絡ブザーの押しボタン。ここのボタンは主に、発車合図や停止位置修正合図などを送るときに使う。
㉓開扉スイッチ
㉑とは逆で、ドアを開けるスイッチ。閉扉操作中はこのスイッチか、後述する再開閉スイッチに手をかけておき、不測の事態に備える。
㉔戸閉切替スイッチ
忍錠を差し込み、回転させることでドアの開き方を変更するスイッチで、車掌スイッチそのもののスイッチも兼ねている。自動位置だと車掌操作でドアが開くが、半自動位置だと乗客のボタン操作でドアが開閉する仕組みになっている。車両によってはスイッチの組み合わせが変わったり、無かったりする。
㉕再開閉スイッチ
閉扉操作中のみ有効で、押している間だけドアが開く仕組みになっている。戸挟みをした場合、このボタンを押すと、戸挟みを起こしたドアのみ開くことができる。

以上、運転台研究でした。



9月21日(土)11:24 | トラックバック(0) | コメント(0) | 鉄道徹底研究 | 管理

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